Discount Domainsからさくらインターネットへのネームサーバー変更は、ドメインを移管せずにDNSの管理場所だけを移す作業です。.nzドメインはさくらインターネットでは取得・管理ができないため、ドメインの登録先はDiscount Domainsに置いたまま、ネームサーバーだけを NS1.DNS.NE.JP / NS2.DNS.NE.JP へ向ける形になります。この記事では、Webサイトとメールを止めずに切り替えるための事前準備、さくら側の設定、Discount Domains側の操作、切替後の確認と所要時間までを、実際の作業手順どおりに解説します。
ネームサーバーを変更すると何が変わるのか

変わるのはDNSの管理場所だけです。ドメインの所有権、更新料の請求先、レジストラはDiscount Domainsのまま変わりません。ネームサーバーを変更すると、そのドメインに対する問い合わせの回答元がDiscount Domainsからさくらインターネットへ切り替わり、以後のDNSレコード編集はさくらのサーバーコントロールパネルで行うことになります。
- AレコードとMXレコードの編集は、変更後はさくらの「DNSレコード設定」で行う
- Discount Domainsの管理画面からはA・MXレコードを編集できなくなる(同社のヘルプにも明記されています)
- URLクローキングなど、Discount DomainsのDNSに依存した機能は利用できなくなる
- ドメインの更新手続きと支払いは、これまでどおりDiscount Domainsで行う
さくらインターネットは .cc や .tv などと同様に .co.nz を含む一部のドメイン種別を取り扱っていません。そのため「ドメインごとさくらへ移管する」という選択肢はそもそも存在しません。レジストラ自体を変えたい場合は、.nz独自の認証コードであるUDAI(Unique Domain Authentication ID)を取得し、ニュージーランドのレジストラ同士で移管する形になります。DNSだけを日本側で管理したいケースでは、ネームサーバー変更で十分です。
事前準備:現在のDNSレコードを1件残らず書き出す
この工程を飛ばすと、切替と同時にメールが止まります。ネームサーバーを変えるとDNSの回答元がまるごと入れ替わるため、今の設定は自動では引き継がれません。Discount Domainsの管理画面でDNSレコード一覧を開き、すべてのレコードを控えてください。あわせてコマンドでも実際に返る値を確認しておくと確実です。
nslookup -type=NS example.co.nz
nslookup -type=A example.co.nz
nslookup -type=MX example.co.nz
nslookup -type=TXT example.co.nz
| レコード | 役割 | 控え忘れたときの影響 |
|---|---|---|
| A(ルートドメイン) | サイトの表示先IP | サイトが表示されなくなる |
| CNAME(wwwなど) | wwwの転送先 | www付きURLが開かなくなる |
| MX | メールの受信先 | メールが届かなくなる |
| MXが指すホストのA | メールサーバーのIP | MXを作ってもメールが全て弾かれる |
| TXT(SPF・DMARC) | 送信ドメイン認証 | 送信メールが迷惑メール判定されやすくなる |
最も多い事故が、表の4行目にあるMXが指すホスト名のAレコードの控え漏れです。MXの値が mail.example.co.nz のように自ドメインのホスト名になっている場合、MXレコードを移すだけでは足りません。mail のAレコードも一緒に作らないと、メールサーバーのIPアドレスが引けず、受信メールがすべて弾かれます。
さくら側の設定を先に済ませる

作業の順番は、さくらが先、Discount Domainsが後です。これはさくらの公式ヘルプにも明記されており、ドメイン追加設定をする前にネームサーバー情報を変更すると不具合が生じる可能性があるとされています。さくら側にゾーンが存在しない状態でネームサーバーだけを向けると、ドメイン全体が名前解決できなくなり、サイトもメールも即座に停止します。
- サーバーコントロールパネルにログインし、「ドメイン/SSL」を開く
- 「ドメイン新規追加」から「他社で取得したドメインを移管せずに使う」を選び、ドメイン名を入力して追加する
- 追加したドメインの「設定」から「DNSレコード設定」を開く
- 事前に控えた現在の値に合わせて、A・CNAME・MX・TXTを登録する
登録時の注意点は3つあります。1つ目は、MXレコードの値には末尾のドットが必要なことです(例:10 mail.example.co.nz.)。さくらの公式ヘルプでも明記されている、間違えやすいポイントです。2つ目は、Webサイトを外部サーバーに置いたまま運用する場合、Aレコードにその外部サーバーのIPアドレスを指定することです。3つ目は、メールを他社サーバーのまま残す場合、MXは現在の値をそのまま写すことです。さくらはネームサーバーとWeb・メールの運用先が別々でも問題なく併用できます。
なお、さくらのレンタルサーバをお試し期間中に利用している場合、一部の機能に制限がかかります(クレジットカード払いで本契約済みの場合を除く)。移行作業を予定しているなら、先に本契約を済ませておくと余計なつまずきがありません。この段階ではネームサーバーはまだDiscount Domainsのままなので、外から見た挙動は何も変わりません。
Discount Domainsでネームサーバーを変更する手順
さくら側の準備ができたら切り替えです。Discount Domainsの操作は4ステップで完了します。
- 顧客ダッシュボード(secure.discountdomains.co.nz/login)にログインする
- 上部ナビゲーションの「Domains」から対象ドメインを選択する
- ネームサーバー(Nameservers / DNS)の設定画面を開く
- NS1.DNS.NE.JP と NS2.DNS.NE.JP を入力し、既存の ns1〜ns3.discountdomains.co.nz を削除して保存する
さくらのネームサーバーはプライマリとセカンダリの2台構成です。エックスサーバーのように5台を並べる必要はありません。保存後、レジストリへの反映には数時間かかります。世界中のDNSキャッシュが入れ替わるまでを見込むと、完全に落ち着くのは最大24時間程度と考えておくと安全です。
所要時間の目安と切替後の確認
| 工程 | 実作業時間 | 待ち時間 |
|---|---|---|
| DNSレコードの控えと整理 | 20〜30分 | なし |
| さくらのドメイン追加とDNSレコード設定 | 20〜30分 | 数時間程度 |
| Discount Domainsでのネームサーバー変更 | 5〜10分 | 数時間〜24時間 |
| 切替後の確認とテストメール | 15分 | なし |
実作業は合計しても1時間程度で、大半は反映待ちです。クライアントには「作業は1時間ほど、インターネット全体への反映に最大24時間、その間もサイトとメールはこれまでどおり」と伝えれば正確です。確認は「権威サーバーを指定して引く」と「実際にメールを1通送る」の2つで足ります。
nslookup -type=NS example.co.nz
nslookup -type=MX example.co.nz ns1.dns.ne.jp
nslookup -type=A mail.example.co.nz ns1.dns.ne.jp
ネームサーバーが切り替わったこと、MXとAが変更前と同じ値を返すことを確認したら、最後に外部のフリーメールからテストメールを送り、実際に受信できるかを見ます。万一問題が出た場合は、Discount Domainsでネームサーバーを元に戻せば復旧しますが、戻す側にも反映待ちが発生します。作業は平日の午前など、時間に余裕のあるタイミングで実施してください。
サイトの公開切替は別日にするのが安全
サイトのリニューアル公開とネームサーバー変更は、同じ日にまとめないことをおすすめします。同時に実施すると、不具合が出たときに原因がネームサーバー変更なのか公開切替なのか切り分けられません。先にネームサーバーだけを移してさくらでDNSを操作できる状態を作っておけば、公開切替は「Aレコードを1行書き換えるだけ」になり、戻す判断も一瞬でできます。
また、同じサーバー内にドメインの設定があると、お問い合わせフォームなどサーバー上のプログラムから送るメールが、MXレコードを見ずにサーバー内へ配送されることがあります。メールを他社サーバーに置いたままにする場合は、通知先を別ドメインのアドレスにするか、外部SMTP経由で送信する設定にしておくと取りこぼしを防げます。
移行先がエックスサーバーの場合は、ネームサーバー名や画面の名称が異なります。手順はDiscount Domainsからエックスサーバーへネームサーバーを変更する方法にまとめています。
よくある質問(FAQ)
ネームサーバーを変更するとメールは止まりますか?
事前にさくら側へ同じMXレコードを登録しておけば止まりません。逆に、MXレコードやMXが指すホストのAレコードを作らないまま切り替えると、その瞬間からメールが届かなくなります。メールを止めないことが最優先なら、DNSレコードの控えと登録を必ず先に済ませてください。
さくらの契約がなくてもネームサーバーだけ使えますか?
使えません。NS1.DNS.NE.JP / NS2.DNS.NE.JP は、さくらの契約側にそのドメインを追加してゾーンが作られている状態が前提です。追加していないドメインのネームサーバーをさくらに向けると、そのドメインは名前解決できず、サイトもメールも停止します。必ずドメイン追加とDNSレコード登録を済ませてから切り替えてください。
Discount Domainsからさくらへドメインごと移管できますか?
.co.nz などのニュージーランドドメインは、さくらインターネットの取扱対象外のため移管できません。ネームサーバーだけをさくらに向ける方法をとります。ドメインの管理と更新は引き続きDiscount Domainsで行います。
MXレコードの末尾のドットは必要ですか?
必要です。さくらのDNSレコード設定でMXを登録する際は「10 mail.example.co.nz.」のように末尾にドットを付けます。付け忘れるとドメイン名が二重に連結されてしまい、メールが届かなくなります。
反映にはどのくらい時間がかかりますか?
数時間が目安で、世界中のキャッシュが入れ替わるまで含めると最大24時間程度です。切替中は新旧どちらのネームサーバーが参照されるか分からないため、両方が同じ内容を返す状態にしておけば、利用者から見た影響はありません。
まとめ
Discount Domainsからさくらインターネットへのネームサーバー変更は、順番さえ守れば無風で終わる作業です。ポイントは3つ、現行レコードを1件残らず控えること、さくら側にドメイン追加とDNSレコード登録を先に済ませること、そしてサイト公開の切替とは日を分けることです。海外レジストラで管理されたドメインは、担当者の交代や制作会社の変更で経緯が分からなくなりがちです。移行を機に、どのレコードがどのサーバーを指しているのかを整理しておくと、その後の運用がずっと楽になります。