Discount Domainsからエックスサーバーへのネームサーバー変更は、ドメインを移管せずにDNSの管理場所だけを移す作業です。.nzドメインは国内レジストラでの取り扱いがないため、ドメインの登録先はDiscount Domainsに置いたまま、ネームサーバーだけを ns1.xserver.jp〜ns5.xserver.jp へ向ける形になります。この記事では、Webサイトとメールを止めずに切り替えるための事前準備、エックスサーバー側の設定、Discount Domains側の操作、切替後の確認と所要時間までを、実際の作業手順どおりに解説します。
ネームサーバーを変更すると何が変わるのか

変わるのはDNSの管理場所だけです。ドメインの所有権、更新料の請求先、レジストラはDiscount Domainsのまま変わりません。ネームサーバーを変更すると、そのドメインに対する問い合わせの回答元がDiscount Domainsからエックスサーバーへ切り替わり、以後のDNSレコード編集はエックスサーバーのサーバーパネルで行うことになります。
- AレコードとMXレコードの編集は、変更後はエックスサーバーの「DNSレコード設定」で行う
- Discount Domainsの管理画面からはA・MXレコードを編集できなくなる(同社のヘルプにも明記されています)
- URLクローキングなど、Discount DomainsのDNSに依存した機能は利用できなくなる
- ドメインの更新手続きと支払いは、これまでどおりDiscount Domainsで行う
.co.nz などのニュージーランドドメインは、エックスサーバードメインをはじめ国内のレジストラでは取り扱いがありません。そのため「ドメインごと日本に移管する」という選択肢はそもそも存在しません。レジストラ自体を変えたい場合は、.nz独自の認証コードであるUDAI(Unique Domain Authentication ID)を取得し、ニュージーランドのレジストラ同士で移管する形になります。DNSだけを日本側で管理したいケースでは、ネームサーバー変更で十分です。
事前準備:現在のDNSレコードを1件残らず書き出す
この工程を飛ばすと、切替と同時にメールが止まります。ネームサーバーを変えるとDNSの回答元がまるごと入れ替わるため、今の設定は自動では引き継がれません。Discount Domainsの管理画面でDNSレコード一覧を開き、すべてのレコードを控えてください。あわせてコマンドでも実際に返る値を確認しておくと確実です。
nslookup -type=NS example.co.nz
nslookup -type=A example.co.nz
nslookup -type=MX example.co.nz
nslookup -type=TXT example.co.nz
| レコード | 役割 | 控え忘れたときの影響 |
|---|---|---|
| A(ルートドメイン) | サイトの表示先IP | サイトが表示されなくなる |
| CNAME(wwwなど) | wwwの転送先 | www付きURLが開かなくなる |
| MX | メールの受信先 | メールが届かなくなる |
| MXが指すホストのA | メールサーバーのIP | MXを作ってもメールが全て弾かれる |
| TXT(SPF・DMARC) | 送信ドメイン認証 | 送信メールが迷惑メール判定されやすくなる |
最も多い事故が、表の4行目にあるMXが指すホスト名のAレコードの控え漏れです。MXの値が mail.example.co.nz のように自ドメインのホスト名になっている場合、MXレコードを移すだけでは足りません。mail のAレコードも一緒に作らないと、メールサーバーのIPアドレスが引けず、受信メールがすべて弾かれます。
エックスサーバー側の設定を先に済ませる

作業の順番は、エックスサーバーが先、Discount Domainsが後です。エックスサーバー側にドメイン設定が存在しない状態でネームサーバーだけを向けると、ドメイン全体が名前解決できなくなり、サイトもメールも即座に停止します。必ず先にサーバー側を整えてください。
- サーバーパネルにログインし、「ドメイン設定」を開く
- 「ドメインを追加」から対象ドメインを追加する(無料独自SSLはこの時点ではオフでよい)
- 「DNSレコード設定」を開き、自動生成された初期レコードを確認する
- 事前に控えた現在の値に合わせて、A・CNAME・MX・TXTを修正する
ここで必ず確認したいのが、ドメイン追加時に自動生成される初期レコードです。初期状態ではAレコードもMXレコードもエックスサーバー自身を指すように作られます。メールを他社サーバーに残したまま運用するなら、MXレコードと、そのMXが指すホストのAレコードを現在の値に書き換えてください。書き換えないままネームサーバーを切り替えると、受信メールがエックスサーバーへ流れ込み、本来のメールサーバーに届かなくなります。
すでにドメインを追加済みで、ネームサーバーがまだ他社を向いている場合、ドメイン設定の一覧には設定状況として「NS相違」と表示されます。これはエラーではなく、サーバー側の準備はできているがネームサーバーがまだ切り替わっていない、という状態を示しています。この表示が出ていれば、次はDiscount Domains側の作業です。
Discount Domainsでネームサーバーを変更する手順
エックスサーバー側の準備ができたら切り替えです。Discount Domainsの操作は4ステップで完了します。
- 顧客ダッシュボード(secure.discountdomains.co.nz/login)にログインする
- 上部ナビゲーションの「Domains」から対象ドメインを選択する
- ネームサーバー(Nameservers / DNS)の設定画面を開く
- ns1.xserver.jp から ns5.xserver.jp を入力し、既存の ns1〜ns3.discountdomains.co.nz を削除して保存する
エックスサーバーのネームサーバーは5つありますが、レジストラによって登録できる数は異なります。入力欄が足りない場合は、1から順に設定できるだけ設定すれば問題ありません。保存後、レジストリへの反映には数時間から24時間程度かかります。
所要時間の目安と切替後の確認
| 工程 | 実作業時間 | 待ち時間 |
|---|---|---|
| DNSレコードの控えと整理 | 20〜30分 | なし |
| エックスサーバーのDNSレコード設定 | 20〜30分 | 数分〜1時間 |
| Discount Domainsでのネームサーバー変更 | 5〜10分 | 数時間〜24時間 |
| 切替後の確認とテストメール | 15分 | なし |
実作業は合計しても1時間程度で、大半は反映待ちです。確認は「権威サーバーを指定して引く」と「実際にメールを1通送る」の2つで足ります。キャッシュに惑わされないよう、エックスサーバーのネームサーバーを直接指定して問い合わせるのがポイントです。
nslookup -type=NS example.co.nz
nslookup -type=MX example.co.nz ns1.xserver.jp
nslookup -type=A mail.example.co.nz ns1.xserver.jp
ネームサーバーが切り替わったこと、MXとAが変更前と同じ値を返すことを確認したら、最後に外部のフリーメールからテストメールを送り、実際に受信できるかを見ます。万一問題が出た場合は、Discount Domainsでネームサーバーを元に戻せば復旧しますが、戻す側にも反映待ちが発生します。作業は平日の午前など、時間に余裕のあるタイミングで実施してください。
サイトの公開切替は別日にするのが安全
サイトのリニューアル公開とネームサーバー変更は、同じ日にまとめないことをおすすめします。同時に実施すると、不具合が出たときに原因がネームサーバー変更なのか公開切替なのか切り分けられません。先にネームサーバーだけを移してエックスサーバーでDNSを操作できる状態を作っておけば、公開切替は「Aレコードを1行書き換えるだけ」になり、戻す判断も一瞬でできます。
もうひとつ、エックスサーバー特有の注意点があります。無料独自SSLは、ネームサーバーが自社を向いていないと設定できません。そのため公開切替の当日は、Aレコードを向けてからSSLを設定するまでの間、httpsでアクセスすると証明書の警告が出る時間帯が数分から1時間ほど発生します。切替は営業時間外や午前中の早い時間に行い、SSL設定まで一気に終わらせるのが実務的です。
また、同じサーバー内にドメイン設定があると、サイトのお問い合わせフォームなどサーバー上のプログラムから送るメールが、MXレコードを見ずにサーバー内へ配送されることがあります。メールを他社サーバーに置いたままにする場合は、通知先を別ドメインのアドレスにするか、外部SMTP経由で送信する設定にしておくと取りこぼしを防げます。
よくある質問(FAQ)
ネームサーバーを変更するとメールは止まりますか?
事前にエックスサーバー側へ同じMXレコードを登録しておけば止まりません。逆に、初期状態のままネームサーバーを切り替えると、MXがエックスサーバーを指しているため、本来のメールサーバーに届かなくなります。メールを止めないことが最優先なら、DNSレコードの控えと書き換えを必ず先に済ませてください。
「NS相違」と表示されるのはエラーですか?
エラーではありません。エックスサーバーにドメイン設定は追加済みだが、ネームサーバーがまだ他社を向いている状態を示す表示です。Discount Domains側でネームサーバーを変更し、反映されると「正常」に変わります。
反映にはどのくらい時間がかかりますか?
数時間から24時間程度が目安です。切替中は新旧どちらのネームサーバーが参照されるか分からないため、両方が同じ内容を返す状態にしておけば、利用者から見た影響はありません。
Discount Domainsからエックスサーバーへドメインごと移管できますか?
.co.nz などのニュージーランドドメインは国内レジストラで取り扱いがないため、移管はできません。ネームサーバーだけをエックスサーバーに向ける方法をとります。ドメインの管理と更新は引き続きDiscount Domainsで行います。
ネームサーバーは5つすべて設定しないといけませんか?
いいえ。レジストラによって登録できる数が異なるため、ns1.xserver.jp から順に、設定できるだけ設定すれば問題ありません。
まとめ
Discount Domainsからエックスサーバーへのネームサーバー変更は、順番さえ守れば無風で終わる作業です。ポイントは3つ、現行レコードを1件残らず控えること、エックスサーバー側の初期レコードを現在の値に書き換えてから切り替えること、そしてサイト公開の切替とは日を分けることです。海外レジストラで管理されたドメインは、担当者の交代や制作会社の変更で経緯が分からなくなりがちです。移行を機に、どのレコードがどのサーバーを指しているのかを整理しておくと、その後の運用がずっと楽になります。