Instagramの「AI生成プロフィール」ラベルとは、プロフィールに登場する人物そのものがAIで生成されたアカウントに表示される、アカウント単位の表示です。2026年8月31日に、従来の「AIクリエイター」ラベルから名称が変わりました。ただしこれは単なる改称ではありません。対象が絞り込まれ、同時に「表示しないとおすすめ表示の対象外になる」というペナルティが付いた点が本質です。この記事では、公式情報で確認できたことと、まだ確認できていないことを分けて整理します。
※本記事の内容は2026年9月9日時点の公開情報にもとづきます。一次情報はInstagram公式のクリエイター向けブログ「AI-generated profile label」(2026年8月31日)です。仕様は変更される可能性があるため、実際の運用前に必ず最新の公式情報をご確認ください。
まず切り分ける:投稿のラベルか、アカウントのラベルか

本題に入る前に、ここを切り分けてください。InstagramのAI関連ラベルには種類があり、多くの混乱はこの取り違えから起きています。「AIラベルが勝手についた」「AIラベルを消したい」という相談のほとんどは、今回の話とは別のラベルです。
投稿に付く「AI情報(AI info)」ラベル
投稿やリールなど、コンテンツ単位で付くラベルです。その画像や動画が生成AIで作られた、あるいは編集されたことを示します。自己申告に加えて、画像に埋め込まれた業界共通のメタデータをMetaが読み取って自動で付与します。2024年5月に「Made with AI」として始まり、同年7月に「AI情報」へ改称されました。
アカウントに付く「AI生成プロフィール」ラベル
今回の記事で扱うのがこちらです。アカウント単位で付き、そのプロフィールに登場する人物がAIで生成されていることを示します。いわゆるAIインフルエンサーやバーチャル人物アカウントが対象です。2026年5月に「AIクリエイター」としてテストが始まり、8月31日に「AI生成プロフィール」へ改称されました。
どちらの話かを判定する
| AI情報(AI info) | AI生成プロフィール | |
|---|---|---|
| 単位 | 投稿・メディア単位 | アカウント単位 |
| 意味 | そのコンテンツがAIで生成・編集された | 登場する人物自体がAI生成 |
| 付き方 | 自己申告+メタデータの自動検知 | 自己申告+未設定の自動検知 |
| 開始 | 2024年5月(同年7月に改称) | 2026年5月(同年8月31日に改称) |
| 未対応時 | 特段の記載なし | おすすめ表示の対象外になり得る |
「1つの投稿だけにラベルが付いた」ならAI情報の話です。「アカウント全体に表示が出た」なら今回の話です。以降はアカウント単位の「AI生成プロフィール」について解説します。
2026年8月31日に何が変わったのか
変更点は名称・定義・強制力の3つ
報道では「名称が変わった」と紹介されることが多いのですが、実際に変わったのは3点です。企業のアカウント運用に影響するのは、2つ目と3つ目です。
- 名称:「AIクリエイター」から「AI生成プロフィール」へ
- 定義:「AIツールを日常的に使うアカウント」から「登場する人物自体がAI生成のアカウント」へ絞り込み
- 強制力:完全な任意ラベルから、未設定だとおすすめ表示の対象外になり得る仕組みへ
2026年5月に始まった「AIクリエイター」は、AIツールを使って投稿を作っているクリエイターが自主的に付けられる任意のラベルでした。8月31日の変更で、対象が「人物そのものがAI生成であること」に限定され、代わりに未設定への対応が加わりました。範囲は狭くなり、効力は強くなった、という変化です。
AIラベルの変遷
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年5月 | 投稿単位の「Made with AI」ラベル開始 |
| 2024年7月 | 「AI情報(AI info)」へ改称 |
| 2026年5月4日 | アカウント単位の「AIクリエイター」ラベルをテスト開始(任意) |
| 2026年8月2日 | EU AI Act 第50条(透明性義務)の適用開始 |
| 2026年8月31日 | 「AI生成プロフィール」へ改称。定義を絞り込み、未設定への対応を追加 |
時系列で見ると、EU AI Actの透明性義務が適用開始した約4週間後に今回の変更が出ていることが分かります。因果関係は公表されていないため断定はできませんが、AI生成物の開示を求める流れが世界的に強まっている中での動きだという文脈は押さえておいてよいと思います。
対象になるアカウント・ならないアカウント
公式の定義
公式が示している条件は「プロフィールに登場する人物が、AIによって生成された、または実質的にAIで作られたものであること」です。判断の軸は「AIを使ったかどうか」ではなく「そこに映っている人が実在するかどうか」にあります。
対象外と明記されているもの
制作プロセスの一部にAIツールを使っているだけのアカウントは、対象外だと公式に明記されています。具体的には、写真をAIで編集する、キャプションをAIで整える、グラフィックをAIで作る、といった使い方です。企業アカウントの多くはこちらに該当します。
ケース別の判定表
| ケース | 判定 |
|---|---|
| AI生成の人物モデルが毎回登場するアカウント | 対象 |
| 実在しない「AI社員」を顔として運用している | 対象 |
| 実在スタッフの写真の背景だけをAIで加工 | 対象外 |
| 商品写真をAIでレタッチしている | 対象外 |
| キャプションや投稿案をAIで作成している | 対象外 |
| バナーやグラフィックをAIで作成している | 対象外 |
| 実在モデルの顔をAIで大幅に加工している | 公式未確認 |
| ブランドの2Dキャラクター(AI非使用のイラスト) | 公式未確認 |
| VTuber・CGアバター(AI非使用) | 公式未確認 |
| AI生成のナレーション音声のみを使用 | 公式未確認 |
「公式未確認」と書いた4つは、意図的にそう記載しています。公式の文言は一貫して「AIで生成された人物」であり、それ以上の切り分けは示されていません。検索するとイラストのマスコットやVTuberも対象だと断定する情報が出てきますが、少なくとも2026年9月9日時点で、それを裏づける公式の記述は確認できていません。判断に迷う場合は、公式の問い合わせ窓口で確認するのが確実です。
ラベルを付けなかった場合に何が起きるか

通知とアカウントのステータス
該当するのにラベルを設定していないアカウントをMetaが検知すると、通知が届きます。その後は「アカウントのステータス」画面で、おすすめ表示の対象から外れていないかを確認できます。
影響するのは「おすすめ表示」
公式が示しているのは「プロフィールのリーチが制限される可能性がある」「おすすめ表示の対象外になる」という内容です。つまりフォロワー以外への露出が減ります。日本語の解説記事では「リールや発見タブ」と具体的な面を挙げているものがありますが、公式の文言はあくまで「おすすめ(recommendations)」であり、特定の面を名指しした記述は確認できませんでした。
逆に、自分からラベルを設定したアカウントについては「リーチに変化はない」と公式に明記されています。正直に開示すれば不利にはならない、という設計です。
アカウントの削除や凍結はあるのか
今回の発表に、アカウントの削除や凍結に関する記載は一切ありません。「ラベルを付けないと凍結される」という趣旨の説明を見かけたら、それは正確ではありません。今回の措置は規約違反による削除ではなく、開示しなければおすすめ表示の資格を失う、という設計です。
ただし、運用主体を偽ってなりすます行為などは、別のポリシーで従来どおり削除対象になり得ます。今回のラベルの話と、なりすまし規制の話は分けて考えてください。
誤って判定された場合の異議申し立て
復帰の方法は2つあります。1つは自分でラベルを設定すること。もう1つは、誤検知だと考える場合に異議申し立てを行うことです。申し立てが認められれば、プロフィールとコンテンツは再びおすすめ表示の対象に戻ります。Meta側も検知が完璧ではないことを前提にした説明をしています。
なお、審査にかかる日数について公式の記載は見当たりませんでした。「7日で復帰」といった具体的な日数を挙げている記事もありますが、出典が確認できないため、この記事では触れないでおきます。
ラベルの設定方法と表示場所
設定はプロフィール編集画面から
「プロフィールを編集」から、AI生成のプロフィールであることを示す項目をオンにします。すでに旧「AIクリエイター」ラベルを設定していたアカウントには新しい名称が表示され、内容を確認したうえで継続するか外すかを選べます。
プロフィールと投稿の両方に出る
ラベルはプロフィール上に表示されるほか、そのアカウントのコンテンツの横にも表示されます。ただし、そのコンテンツにすでにAI関連のラベルが付いている場合は、そちらが優先され、重ねて表示されることはありません。プロフィール画像の直下なのか、投稿のどの位置なのかといった細かい表示位置については、公式の記述は確認できませんでした。
日本での提供状況
公式ページには日本語版があり、地域を限定する記述は見当たりません。一方で「全世界同時に提供する」という明言もなく、開始時期のアナウンスも確認できませんでした。前身の「AIクリエイター」ラベルは段階的な展開だったため、今回も順次拡大する可能性があります。自社アカウントで設定項目が見当たらない場合は、まだ展開が届いていないことも考えられます。
他のプラットフォームはどうなっているか

AI生成物の開示ルールは各社が整備を進めています。ただし、今回のInstagramの措置には他社にない特徴があります。
| プラットフォーム | ラベルの単位 | 未開示時の扱い |
|---|---|---|
| 投稿単位+アカウント単位 | おすすめ表示の対象外になり得る | |
| TikTok | 投稿単位 | 害の程度に応じて削除・制限・運営側でのラベル付与 |
| YouTube | 動画単位 | 継続的な不開示はコンテンツ削除やパートナープログラム停止もあり得る |
| ピン単位 | メタデータと分類器で自動付与。異議申し立て制度あり |
アカウント単位に踏み込んだのはInstagramが最初
TikTok、YouTube、Pinterestはいずれもコンテンツ単位の開示にとどまっています。「このアカウントの中の人はAIです」という、アカウント単位での開示を求め、守らない場合に配信を絞る仕組みを導入したのは、主要プラットフォームではInstagramが最初です。他社が追随するかどうかは、今後の運用実績次第だと考えられます。
ペナルティの重さはYouTubeのほうが上
意外に思われるかもしれませんが、未開示時の措置が最も重いのはYouTubeです。実在の人物や出来事と見間違えるようなリアルな合成コンテンツを継続的に開示しない場合、コンテンツの削除やパートナープログラムからの停止があり得ると明記されています。動画をYouTubeにも展開している企業は、こちらの基準も合わせて確認しておいてください。
日本の企業が確認すべきこと(景品表示法との関係)
ここからは日本の法令との関係です。以下は公開情報にもとづく整理であり、法的な助言ではありません。個別の判断は必ず専門家にご相談ください。
ステマ規制はAIの開示義務ではない
まず前提の整理です。2023年10月1日に施行されたいわゆるステマ規制は、景品表示法にもとづき「事業者の広告なのに、それが分からない表示」を禁止するものです。AI生成であること自体の開示を求める規定は、日本の法令には存在しません。InstagramのラベルはあくまでMetaの規約上のルールであり、法令上の義務とは別建てだと理解してください。
自社運用のAIキャラアカウントは対象か
企業が自社で運用するアカウントで自社商品を紹介する行為は「事業者の表示」に当たります。ただし消費者庁の運用基準では、事業者自身のウェブサイトでの表示と、事業者自身のSNSアカウントを通じた表示が、対象外の例として明示的に挙げられています。公式アカウントであることが明らかであれば、広告だと判別できるため問題になりにくい、という整理です。企業名を掲げた公式アカウントであれば、通常はここに当たります。
リスクが高いのは「第三者風」の運用
問題になりやすいのは、企業が運用主体であることを伏せて第三者のように見せたアカウントを作り、そこで自社商品を紹介するケースです。運用基準では、自社の媒体であっても第三者の客観的な意見のように見せている場合は例外だとされており、その例として「そもそも事業者が作成し、第三者に何らの依頼すらしていない場合」が挙げられています。企業が生成したAIキャラに一利用者として使用感を語らせる構成は、この文言にそのまま当てはまります。AIかどうか以前の論点なので、運用主体は明示しておくのが安全です。
AI生成の人物に体験談を語らせない
実務で最も注意したいのがここです。「毎日使っています」「肌が変わりました」といった実体験の語りを、実在しない人物に言わせる構成は避けてください。消費者庁は打消し表示に関する調査報告で、体験談をねつ造する場合や都合の良い体験談のみを引用する場合は不当表示に当たるおそれがあるとしています。あわせて、体験談を見た消費者は「大体の人」が同じ効果を得られると受け取るため、「個人の感想です」といった打消し表示があっても認識はほとんど変わらないとも指摘しています。
誤認を避けるには、調査の被験者数や効果が得られた人の割合を示す必要があるとされていますが、AI生成の人物には被験者そのものが存在しません。つまり打消し表示では救済できない構造だということです。同様に、「スタッフの○○です」「モデルの○○さん」など、実在を前提とする文言をAI生成人物に使うことも避けるべきです。
AI生成人物の感想を「お客様の声」に載せない
自社サイトの「お客様の声」欄も同じ考え方です。消費者庁のQ&Aでは、依頼して投稿してもらったインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として自社サイトに掲載するのは適当ではない、と示されています。実在するインフルエンサーの投稿ですらそう扱われる以上、AI生成の架空人物の感想を顧客の声として載せる行為は、より問題が大きいと考えるべきです。ビジュアルとしてAI生成画像を使うことと、証言として使うことは、はっきり分けてください。
AIラベルとPR表記は別物
AIインフルエンサーに自社商品のPR投稿を依頼する場合、依頼した広告主側にPR表記の責任があります。Instagramの「AI生成プロフィール」ラベルはMetaの規約、「PR」「広告」の表記は景品表示法という別建てのルールです。どちらか一方では足りず、両方が必要になります。
Webサイト側にも波及する「AI利用の開示設計」

制作会社として補足しておきたいのは、この流れがSNSだけの話では終わらない点です。企業サイトのビジュアルにも生成AIを使う場面が増えており、開示のルールをサイト側でも決めておく必要が出てきています。
コーポレート・採用サイトのビジュアル
特に注意が要るのは採用サイトです。実在しない人物を「社員」として見せると、応募者に誤った印象を与えます。社員紹介やオフィス風景にAI生成画像を使う場合は、イメージ画像である旨をキャプションに明記する運用を最初に決めておいてください。イメージであることを示す一文を入れるだけで、後々の指摘を避けられます。
CMSに開示の仕組みを組み込む
運用が始まってから個別に対応すると、必ず抜けが出ます。WordPressなら、メディアのキャプション欄やカスタムフィールドに「AI生成かどうか」を記録する項目を用意し、テンプレート側で自動的にクレジットを出力する形にしておくと確実です。担当者が変わっても運用が崩れません。
画像のメタデータを落とさない
生成AIで作られた画像には、その来歴を示すメタデータが埋め込まれていることがあります。各プラットフォームの自動検知は、こうしたメタデータを読み取って動いています。画像編集ツールでの書き出しや、サイトへのアップロード時の自動圧縮でこの情報が失われると、意図せず開示の連鎖が途切れます。書き出し設定と画像最適化プラグインの挙動を、一度確認しておくことをおすすめします。
社内ガイドラインに落とす5項目
- プロフィールに登場する人物が実在するかどうかを、アカウントごとに整理する
- AI生成の人物を実在スタッフのように見せていないか確認する
- AI生成人物に体験談・使用感を語らせない
- PR表記とAIラベルは別建てで、両方必要だと周知する
- アカウントのステータスを定期的に確認する担当を決める
よくある質問(FAQ)
AIで写真を加工しているだけですが、ラベルは必要ですか?
不要です。写真のAI編集、キャプションの作成、グラフィックの制作といった制作プロセスでのAI利用は、対象外だと公式に明記されています。対象になるのは、プロフィールに登場する人物そのものがAIで生成されている場合です。
ラベルを付けるとリーチは落ちますか?
落ちません。自分からラベルを設定したアカウントについては、プロフィールのリーチに変化はないと公式に明記されています。むしろ設定しないまま検知された場合に、おすすめ表示の対象外になります。該当するなら早めに設定するほうが有利です。
ラベルを付けないとアカウントは削除されますか?
今回の発表に、削除や凍結に関する記載はありません。起きるのは、通知が届き、おすすめ表示の対象外になることです。ただし、なりすましなど別のポリシーに違反する場合は、従来どおり削除の対象になり得ます。
「AI情報」ラベルと何が違いますか?
単位が違います。「AI情報」は投稿やメディア単位で、そのコンテンツがAIで作られたことを示します。「AI生成プロフィール」はアカウント単位で、登場する人物自体がAI生成であることを示します。「勝手にAIラベルが付いた」という相談のほとんどは前者の話です。
自社のブランドキャラクター(イラスト)は対象ですか?
2026年9月9日時点で、公式の見解は確認できていません。公式の文言は「AIで生成された人物」であり、イラストのマスコットやVTuberについての明示的な言及がないためです。断定している情報を見かけても、一次情報にあたって確認することをおすすめします。
日本ではいつから使えますか?
公式に開始時期のアナウンスは確認できませんでした。日本語版の公式ページは公開されており、地域を限定する記述もないため、順次展開されると見られます。設定項目が見当たらない場合は、まだ届いていない可能性があります。
AIモデルを使った商品ビジュアルは問題ありますか?
商品写真のビジュアルにAI生成モデルを使うこと自体は、今回のラベルの対象ではありません。対象はプロフィールに登場する人物です。ただし、そのモデルを実在の愛用者のように見せて体験談を語らせる構成は、景品表示法の観点で別のリスクがあります。ビジュアルとしての利用と、証言としての利用は分けて考えてください。
まとめ
Instagramの「AI生成プロフィール」ラベルについて要点をまとめます。2026年8月31日の変更は単なる改称ではなく、対象が「登場する人物自体がAI生成のアカウント」に絞り込まれ、未設定だとおすすめ表示の対象外になり得る仕組みが加わりました。写真のAI編集やキャプション生成といった制作補助でのAI利用は対象外です。削除や凍結の記載はありません。自分から設定したアカウントのリーチは変わらないため、該当するなら早めに設定するのが有利です。
企業として押さえるべきは、AIラベルとPR表記が別建てだということ、そしてAI生成の人物に実体験を語らせないことの2点です。あわせて、SNSだけでなく自社サイト側でもAI利用の開示ルールを決めておくと、後から慌てずに済みます。この領域は変化が速いため、運用にあたっては必ず公式の案内で最新の内容をご確認ください。