LINE公式アカウントのチャット履歴は、無料の範囲では6か月を過ぎると閲覧できなくなります。履歴を長く残すには月額3,000円(税別)の「チャットProオプション」が必要ですが、やり取りの件数が少ない小規模なアカウントであれば、Chromeの開発者ツールを使って手元にHTMLとして保存しておく方法でも当面はしのげます。この記事では、消える前にバックアップを取る具体的な手順と、実務で気をつけたい点をWeb制作会社の視点で解説します。
LINE公式アカウントのチャット履歴は6か月で消える

結論から言うと、2025年3月の仕様変更以降、LINE公式アカウントの基本機能で見られるチャット履歴は直近6か月分までです。それより古いやり取りは管理画面から確認できなくなり、無料の範囲ではバックアップ機能(履歴のエクスポート)も使えません。
問題になりやすいのは、「言った・言わない」が起きたときです。予約日時の変更、見積もり金額のやり取り、キャンセルの申し出といった重要な会話ほど、後から確認したくなります。ところが、そのときにはもう履歴が消えていた、という事態が起こり得ます。特に個人事業や小規模店舗では、LINEが実質的な連絡台帳になっているケースが多く、6か月というのは決して長い期間ではありません。
まず押さえておきたいのは、履歴は「勝手に貯まり続けるもの」ではなくなったという事実です。残したいなら、こちらから手を打つ必要があります。
チャットProオプションで何が変わるか
正攻法は、有料の「チャットProオプション」を契約することです。月額3,000円(税別)で、履歴の保存期間が5年に延び、バックアップ機能も使えるようになります。基本機能との違いは次のとおりです。
| 項目 | 基本機能(無料) | チャットProオプション |
|---|---|---|
| 月額料金 | 0円 | 3,000円(税別) |
| チャット履歴の保存期間 | 6か月 | 5年 |
| 履歴のバックアップ機能 | 不可 | 可能 |
| タグの作成数 | 5個 | 300個 |
| ノートの作成数 | 各1件 | 各1,000件 |
| その他 | — | AIチャットボット(β)、カスタムフィルター |
このオプションは月額プランに関係なく契約でき、管理画面から申し込めます。顧客対応の件数が多い、複数人で対応している、履歴が業務記録そのものになっている——こうしたアカウントであれば、月3,000円は迷わず払ったほうが安全です。手作業のバックアップは、あくまで件数が少ない場合の代替手段だと考えてください。
無料で履歴を残す手順|Chromeの開発者ツールで保存する

ここからは、無料の範囲でチャット履歴を手元に残す方法です。やることは「画面に表示されている履歴のHTMLをまるごとコピーして、ファイルとして保存する」だけで、特別なソフトは要りません。所要時間は1件あたり数分です。
- チャット画面を開き、履歴を最後まで読み込む:パソコンのChromeでLINE公式アカウントの管理画面にログインし、対象のトークを開きます。上方向にスクロールして、保存したい範囲の会話をすべて画面に表示させます。ここを飛ばすと、読み込まれていない古いメッセージは保存されません。
- 開発者ツールを開く:キーボードのF12キー(Macは option + command + I)を押し、「Elements」タブを選びます。
- HTMLをコピーする:一番上にある
<html>タグを右クリックし、「Copy」→「Copy outerHTML」を選びます。これで表示中のページ全体がクリップボードに入ります。 - ファイルとして保存する:メモ帳などのテキストエディタに貼り付け、拡張子を
.htmlにして保存します。ファイル名は「20260830_山田様_予約変更.html」のように日付と相手名を入れておくと、後から探しやすくなります。
保存したHTMLファイルはブラウザで開けば、当時のチャット画面に近い見た目で読み返せます。テキストとして中身が残っているので、検索もできます。
この方法の限界と、実務で気をつけたいこと
手軽な方法ですが、万能ではありません。制作の現場でこの手のバックアップを扱うときは、次の3点を必ず確認しています。
ひとつ目は、件数が増えると現実的でなくなることです。1件ずつ手作業でスクロールしてコピーする方式なので、対応中の顧客が数十人いるアカウントでは運用が続きません。「無料で粘るか、月3,000円を払うか」の分岐点は、おおむね手作業に耐えられる件数かどうかで判断できます。
ふたつ目は、個人情報の管理です。保存したファイルには顧客の名前・アイコン・会話内容がそのまま含まれます。個人のパソコンのデスクトップに置きっぱなしにしたり、私物のクラウドに上げたりすれば、それだけで情報漏えいのリスクになります。保存先は会社が管理する場所に限定し、誰がアクセスできるかを決めておいてください。
3つ目は、画像や動画までは完全に残らない点です。HTMLに保存されるのは画像の参照先(URL)であり、その参照が切れると表示できなくなります。重要な画像は、別途ダウンロードして同じフォルダに保存しておくのが確実です。
保存した履歴を「使える資産」に変える
バックアップは、取っただけでは保険にしかなりません。せっかく残すなら、サイト改善の材料として使うことをおすすめします。チャット履歴は、お客様が実際に使った言葉がそのまま残っている、貴重な一次情報だからです。
制作の現場でよくやるのは、履歴から「同じ質問」を洗い出して、サイトのFAQページに反映させる作業です。料金の目安、対応エリア、予約の変更方法といった質問が繰り返し来ているなら、それはサイトの情報が足りていないサインです。同じ問い合わせに毎回手で答えている時間は、ページを1枚整えるだけで減らせます。
保存したHTMLをテキスト化して、AIツールに読み込ませて傾向を要約させる使い方もあります。件数が多いほど、人が目視で読むより早く「よく聞かれること」が見えてきます。
本格運用ならどれを選ぶか|3つの選択肢
手作業のバックアップが限界に近いなら、次の3つのいずれかに切り替える判断になります。
- チャットProオプション(月3,000円・税別):今の運用を変えずに履歴だけ延ばしたい場合の最短ルート。タグやノートの上限も増えるため、顧客管理をLINE公式アカウント内で完結させたい人向けです。
- 外部の配信・顧客管理ツール:LINE公式アカウントと連携するツールを使えば、履歴に加えて顧客情報の紐付けやセグメント配信も管理できます。集客まで含めて設計したい場合に向いています。
- LINE WORKS:お客様とのやり取りを業務チャットとして扱い、管理者側でログを残したい場合はこちら。詳しくはLINE WORKSとLINEの連携方法で解説しています。
判断の軸は「配信して集客したいのか」「個別のやり取りを記録として残したいのか」です。目的が違えば、選ぶべき道具も変わります。
よくある質問(FAQ)
LINE公式アカウントのチャット履歴は何か月まで見られますか?
基本機能では6か月です。それより古いやり取りは管理画面から閲覧できなくなります。チャットProオプションを契約すると5年に延長されます。
無料のままで履歴をエクスポートできますか?
できません。履歴のバックアップ機能はチャットProオプションの機能です。無料の範囲で残したい場合は、この記事で紹介したように画面のHTMLを手動で保存する方法になります。
スマートフォンだけでもバックアップできますか?
開発者ツールを使う方法はパソコンのChromeが前提です。スマートフォンしかない場合は、必要な部分をスクリーンショットで残すか、チャットProオプションの利用を検討してください。
チャットProオプションはいつでも解約できますか?
管理画面から手続きできます。ただし解約後は保存期間の扱いが基本機能の条件に戻るため、必要な履歴は解約前にバックアップしておくのが安全です。最新の条件は公式のヘルプで確認してください。
履歴を保存しておく法的な必要はありますか?
チャット履歴そのものに一律の保存義務はありませんが、契約内容や金額のやり取りが含まれる場合は取引の記録として役立ちます。トラブル時の説明材料になるため、業種によっては残しておく価値が高いです。
まとめ
LINE公式アカウントのチャット履歴は無料の範囲では6か月で消え、エクスポート機能も使えません。件数が少ないうちは、Chromeの開発者ツールでHTMLとして保存しておけば、当面の記録は手元に残せます。ただし手作業である以上、対応件数が増えたら月額3,000円のチャットProオプションに切り替えるのが現実的です。
スリーディープラスでは、LINE公式アカウントの運用設計から、サイトのFAQ整備・問い合わせ導線の見直しまでご相談を承っています。「同じ質問に毎回LINEで答えている」「履歴が消えて困ったことがある」という場合は、お気軽にお問い合わせください。

