パートやアルバイトを雇用していると、「この人は社会保険に加入させる必要があるの?」と迷う場面があります。その判断基準の一つが、社会保険の「4分の3ルール」です。正社員と比べた労働時間・日数の割合で加入の要否を判定する仕組みで、人事労務の実務では欠かせない知識です。この記事では、4分の3ルールの基本と、今後の制度改正の動きを、わかりやすく解説します。
4分の3ルールとは?

4分の3ルールとは、パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するかを判断する基準です。同じ会社の正社員(通常の労働者)と比べて、労働時間と労働日数がいずれも「4分の3(75%)以上」であれば、社会保険の加入対象になります。もともとは行政の運用基準でしたが、2016年に法律で明文化されました。
具体的な計算例
正社員の働き方が「週40時間・月20日」の会社を例に考えてみましょう。その4分の3の水準は次のようになります。
- 労働時間:週40時間 × 3/4 = 週30時間
- 労働日数:月20日 × 3/4 = 月15日
この場合、「週30時間以上」かつ「月15日以上」の両方を満たすと、社会保険の加入対象になります。どちらか一方だけでは対象になりません。
判定は「契約上の所定労働時間」で見る
実務で間違えやすいのが、判定の基準です。4分の3ルールは、実際に働いた実績ではなく、雇用契約で定めた「所定労働時間・所定労働日数」で判定します。たまたま残業で時間が増えた、という実績ではなく、契約上どう定めているかがポイントです。
適用範囲は今後さらに拡大予定

4分の3ルールに満たない短時間労働者でも、一定の要件を満たせば社会保険の加入対象となる「適用拡大」が進んでいます。2025年に成立した年金制度改正法により、対象者は段階的に増える見込みです。主な予定は次のとおりです。
- 2026年10月:月額賃金「8.8万円以上」の要件が撤廃される予定
- 2027年10月以降:企業規模の要件を段階的に引き下げ(51人→36人→21人→11人→最終的に撤廃)
つまり、これまで対象外だった小規模な事業所や短時間の労働者も、順次加入対象に含まれていく方向です。パート・アルバイトを雇用する企業は、今後のスケジュールを踏まえた準備が必要になります。
※制度は改正される可能性があります。最新の要件・スケジュールは、日本年金機構や厚生労働省などの公式情報でご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 時間か日数、どちらかを満たせば加入ですか?
A. いいえ。4分の3ルールでは、労働時間と労働日数の両方が正社員の4分の3以上である必要があります。
Q. 4分の3に満たなければ絶対に加入しなくてよいですか?
A. そうとは限りません。適用拡大の要件(賃金・労働時間・企業規模など)を満たす場合は、4分の3未満でも加入対象になります。今後さらに対象が広がる予定です。
Q. 実際の残業で時間が増えたら加入になりますか?
A. 判定は原則、契約上の所定労働時間・日数で行います。判断に迷う場合は、社会保険労務士など専門家に相談すると安心です。
