名刺の裏面に書くことは、表面に収まらなかった「あとで見てもらう情報」です。具体的には、事業内容やサービスの一覧、SNSやWebサイトへの入口、英語表記、地図や営業時間などが定番です。一方で、自宅の住所や根拠のない実績など、入れてはいけない情報もあります。この記事では、裏面の使い道を4つのパターンに分け、入れてはいけない情報と、レイアウトの考え方を制作会社の目線で整理します。表面の文字サイズや余白、QRコードの大きさといった基本は選ばれる名刺デザインのコツで扱っているため、ここでは重複を避け、裏面ならではの判断に絞ります。
裏面は「使うか、空けるか」から決める
裏面は、使わないという選択も含めて決めるものです。書くことが決まっていないまま埋めると、表面の情報を繰り返しただけの、読まれない裏面になります。
迷ったときは、次の3つの質問で判断します。
- 表面に入りきらなかった、渡す相手に必要な情報があるか
- その情報は、半年から1年は変わらないか
- 裏面を印刷する費用に見合うだけ、見返される場面があるか
3つのうち2つ以上が「はい」なら、裏面を使う価値があります。1つ以下なら、メモ欄として空けておくほうが、受け取る人にとっても使いやすい名刺になります。
裏面を使うと伝えられること
表面は氏名・肩書き・連絡先だけで手いっぱいになりがちです。裏面があれば、何を頼める会社なのか、どこで探せるのか、他言語でも読めるのか、といった「補足」を載せられます。受け取った人が名刺を見返すのは、後日仕事を思い出したときです。その瞬間に必要な情報を置くのが、裏面の役割です。
空けておくほうがよいケース
伝える内容が少ない人は、裏面を白紙にして、メモ用に残す選択も有効です。商談の日付や話した内容を書き込んでもらえるため、後日の連絡につながります。この場合、紙は書き込めるものを選びます。表面にコーティング加工を施すと、ペンがはじかれることがあるため、印刷会社に筆記できる紙かを確認します。
裏面の使い道は4パターンから選ぶ
裏面の使い道は、事業内容・SNSやWebへの案内・外国語表記・メモ欄の4つに分けられます。全部を詰め込まず、渡す相手に必要なものを1つか2つ選びます。
| パターン | 書く内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 事業内容・サービス | サービスの一覧、得意分野、対応範囲 | 個人事業主、士業、小規模な制作会社 |
| SNS・Webへの案内 | QRコード、アカウント名、URL | SNSで集客する人、ポートフォリオを見せたい人 |
| 外国語表記 | 氏名・肩書き・連絡先の英語版 | 海外の取引先がいる人、展示会に出る人 |
| メモ欄・余白 | 何も印刷しないか、日付欄だけ置く | 対面で会話を重ねる営業職、士業 |
事業内容は箇条書き3〜5項目に絞る
サービスの一覧を載せるなら、箇条書きで3〜5項目までにします。10項目も並べると、何が得意なのか分からなくなります。それぞれ20字以内の言い切りにし、料金や期間などの変わりやすい数字は載せません。載せてしまうと、改定のたびに刷り直しが必要になります。
SNSやWebへの案内は、1つの行き先に絞る
InstagramもXもYouTubeもブログも、と並べると、相手はどれを見ればよいか迷います。行き先は1〜2つに絞り、「ポートフォリオはこちら」のように、何が見られるのかを一言添えます。QRコードを載せる場合の設計は、別の記事(名刺のQRコードの載せ方)で詳しく扱います。
外国語表記は、必要な人にだけ載せる
英語の名刺が必要になるのは、海外の取引先や外国人のお客様と会う人です。氏名・肩書き・会社名・連絡先を、表面と同じ並びで英語にします。社名や肩書きは直訳せず、社内で使っている英語表記があればそれに合わせます。使う場面がない人は、外国語表記を省いてかまいません。
メモ欄は「日付と話した内容」の2行で足りる
メモ欄を設けるなら、罫線は2本程度で十分です。日付と会話の要点を書き込めるだけの余白があれば、相手にとっても管理が楽になります。名刺の裏面全部をメモ欄にする必要はなく、下半分だけ空ける形でも使えます。
業種ごとの選び方の目安
どのパターンを選ぶか迷うときは、業種ごとの目安が参考になります。あくまで一般的な傾向で、実際には渡す相手と目的で決めます。
| 業種の例 | 裏面の使い方の例 |
|---|---|
| 飲食店・サロン | 地図、営業時間、予約用のQRコード |
| 士業・コンサルタント | 対応分野の一覧、メモ欄 |
| 制作・クリエイター | 作品のQRコード、制作できる範囲 |
| 製造・建設業 | 取り扱い分野、対応エリア、保有資格 |
| 海外と取引のある会社 | 氏名・社名・連絡先の英語表記 |

裏面に入れてはいけない情報
裏面に入れてはいけない情報は、個人情報、根拠のない実績、表面との重複、すぐ古くなる情報の4つです。名刺は不特定多数に渡すもので、一度手を離れたら回収できません。載せる前に「この情報が第三者の手に渡っても問題ないか」を確認します。
個人情報は必要最小限にする
自宅の住所、個人の携帯番号、生年月日、家族の情報などは、裏面にも載せません。仕事用の連絡先だけを載せ、プライベートな連絡先は渡さない設計にします。名刺は落としたり、第三者に渡ったりすることがあり、一度出回った情報は取り消せません。
根拠のない実績や最上級表現は避ける
「業界No.1」「日本一」のような表現は、客観的な根拠がないと、消費者を誤認させる表示と受け取られるおそれがあります。調査機関や調査時期、対象を明示できないなら、使わないのが無難です。実績を書くときは、数字として事実を言い切れるものだけにします。
表面の内容をそのまま繰り返さない
電話番号やメールアドレスを裏面にも載せるのは、紙面のムダになります。表面に入らなかった補足だけを置き、同じ連絡先を2度載せないようにします。裏面を見た人に新しい情報があるかどうかが、判断基準です。
期限のある情報や変わりやすい情報は載せない
キャンペーンの期限、料金、取り扱い商品、営業時間などは、変わるたびに名刺が古くなります。変わりやすい情報は、URLやQRコードの先のWebページに置き、名刺にはその入口だけを載せます。名刺は数ヶ月から数年使い続けるものなので、長く通用する情報だけを残します。
取引先名や他人が写った写真は許可を得てから使う
実績として取引先の社名やロゴを載せるときは、先方の許可が必要です。施工事例の写真に、お客様の顔や建物の表札、車のナンバーが写っていないかも確認します。許可が取れていないものは載せない、という線引きを先に決めておくと、判断で迷いません。
裏面のレイアウトと印刷の考え方
裏面も表面と同じブランドの一部として扱い、色と書体、位置の基準を揃えます。表と裏でデザインが別物になると、1枚の名刺として覚えてもらえません。
表と裏で色・書体・余白をそろえる
裏面だけ背景を濃い色にするなど、大胆な切り替えは印象に残りますが、文字を読みにくくしやすい面もあります。書体は表面と同じ2種類以内、色は表面で使った3色以内に収めると、統一感が出ます。文字サイズや余白の数値は選ばれる名刺デザインのコツを基準にしてください。
片面印刷と両面印刷では費用が変わる
一般に、印刷会社では両面印刷のほうが片面よりも料金が高くなります。ただし、料金体系は印刷会社ごとに違い、同じ会社でも枚数やコースで差があるため、見積もりを取って比べます。裏面を使うかどうかは、費用と伝えたい情報の量で決めます。

裏面をつくる手順|3つのステップ
裏面は、表面を完成させたあとに、足りない情報を洗い出して決めます。順番を逆にすると、裏面の内容に引きずられて表面が窮屈になります。
ステップ1:表面に入りきらなかった情報を書き出す
表面を作る中で、「入れたかったが入らなかった」情報を一覧にします。サービス名、SNS、資格、営業時間などが該当します。この一覧が、裏面の材料です。
ステップ2:渡す相手に必要なものを1〜2つ選ぶ
一覧から、渡す相手にとって次の行動につながる情報を選びます。「依頼を検討する人」ならサービス一覧、「SNSで継続的に見てもらいたい人」ならSNSの案内、というように目的で選びます。残りは思い切って削ります。
ステップ3:実際に刷って、読めるか試す
画面で見たときと、紙に刷ったときでは、小さな文字の読みやすさが変わります。本番の前に自分のプリンターで原寸の試し刷りをして、1メートルほど離して読めるかを確認します。QRコードを載せる場合は、スマホで読み取れるかも確かめます。

デザインの腕試しに「名刺デザインバトル」
裏面まで含めて名刺をデザインしたら、他の人の名刺と並べて見ることで、自分の判断を確かめられます。当社が運営する名刺デザインバトルは、無料で、会員登録なしで遊べます。
2枚から好きなほうを選ぶ投票です
表示される名刺2枚から、好きなほうを選びます。結果はイロレーティング方式で順位になり、10戦すると、他の人の選び方とどれくらい一致したかを示す「目利き一致率」が出ます。他の人の作品を見ることで、自分の目を確かめられます。
エントリーは審査制です
自分の名刺をエントリーするときは、画面内で画像の切り抜きと明るさの補正ができます。エントリーは審査制で、公開前に当社で内容を確認します。受け付け時に表示される取り下げ用のURLから、本人がいつでも削除できます。
個人情報はモザイクを入れてから送ります
名刺には電話番号やメールアドレスなどの個人情報が載っているため、連絡先の部分にはモザイクを入れてから送る形が前提です。公開してよい情報だけを見せる選択もできます。名刺デザインバトルにエントリーするか、まず投票だけ試してみることもできます。
よくある質問
Q. 裏面は必ず印刷しなければいけませんか?
必須ではありません。表面だけで伝わる内容なら、裏面は白紙でも問題ありません。メモを書き込んでもらうために、あえて空けておく使い方もあります。
Q. 裏面に写真を入れてもよいですか?
入れてかまいません。商品写真や施工事例、店舗の外観などは、言葉より早く事業を伝えられます。ただし、写真は印刷すると暗く沈みやすいため、明るめの画像を選び、印刷前に試し刷りで確認します。
Q. 裏面に英語をまとめて載せるのは失礼ではありませんか?
失礼にはあたりません。日本の名刺では、表を日本語、裏を英語にする形が広く使われています。相手が海外の方なら、英語面を上にして渡すと親切です。
Q. 裏面にキャッチコピーを入れてもよいですか?
入れてかまいません。短い言葉で事業の姿勢を伝えるキャッチコピーは、裏面と相性のよい内容です。ただし、1行に収まる長さにし、抽象的な言葉だけで中身がない表現は避けます。
Q. 裏面のデータは、印刷会社にどう入稿しますか?
多くの印刷会社では、表面と裏面を別のファイル、または1つのPDFの2ページ目として入稿します。塗り足しや安全領域の数値は表面と同じなので、選ばれる名刺デザインのコツの表を参考にしてください。
まとめ|裏面は「あとで見返してもらう情報」だけを置く
名刺の裏面は、事業内容・SNSやWebへの案内・外国語表記・メモ欄の中から、渡す相手に必要なものを1〜2つ選んで置きます。個人情報、根拠のない実績、表面との重複、すぐ古くなる情報は入れません。選ばれる名刺デザインのコツとあわせて、表と裏の役割分担を決めると、迷わずに作れます。