法人向けクラウドストレージの選び方|社内共有と取引先とのデータ受け渡し

法人向けクラウドストレージの選び方|社内共有と取引先とのデータ受け渡し

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法人向けクラウドストレージとは、会社のファイルをインターネット上に置き、社員や取引先と安全に共有するためのサービスです。選ぶときは「料金がユーザー数で増えるのか、容量で決まるのか」「取引先に渡す共有リンクに期限とパスワードを付けられるか」「誰が何をしたかの記録が残るか」の3点を先に確かめると、あとで困りません。この記事では、Web制作会社として写真・動画・デザインデータのような重いファイルを毎日やりとりしている立場から、中小企業向けの選び方、移行の手順、よくある失敗をまとめました。

目次

法人向けクラウドストレージとは|個人向けとの違い

オフィスでノートパソコンからファイルを共有しているスタッフ
Photo by Jud Mackrill on Unsplash

個人向けとの一番の違いは、ファイルの持ち主が「社員個人」ではなく「会社」になることです。管理者がアカウントを発行・停止でき、フォルダごとに見られる人を決められ、操作の記録も残ります。

社内の共有と、取引先との受け渡しの2つの使い方

使い方は大きく2つです。1つは社内の共有で、見積書や案件フォルダを全員が同じ場所で開けるようにする使い方です。もう1つは取引先との受け渡しで、アカウントを持たない相手に共有リンクを送り、ファイルを渡したり受け取ったりします。制作の現場では後者の比重が大きく、撮影データやロゴの元データのように、メールに添付できない大きさのファイルを毎週のようにやりとりします。

メール添付や無料の転送サービスとの違い

メール添付は容量の上限が小さく、送ったファイルは相手の受信箱に残り続けます。無料の大容量転送サービスは手軽ですが、誰がいつ何を送ったかを会社として追えません。クラウドストレージなら、ファイルは手元に置いたまま「見られる期間」と「見られる人」を決めて渡せるので、渡したあとでも止められるのが大きな違いです。

料金の仕組み|ユーザー数課金か容量課金か

料金の決まり方は「1人あたりいくら」のユーザー数課金と、「容量ごとに月額いくら」の定額(容量)課金に分かれます。自社の人数と、扱うデータの重さで向き不向きがはっきり分かれます。

ユーザー数課金|人数が少なく、1人あたりの容量が欲しい会社向け

Google ドライブ(Google Workspace)、Dropbox、Box などは、使う人数に応じて料金が増える仕組みです。Google Workspace の公式料金ページでは、1ユーザーあたりの月額(税別)が Business Starter 800円・30GB、Business Standard 1,600円・2TB、Business Plus 2,500円・5TB と案内されています(キャンペーンで割引される期間があります)。メールやカレンダーと一緒に使えるのが強みです。Dropbox と Box のチーム向けプランはどちらも3人以上からの契約で、Dropbox の Standard はチーム全体で5TB、Box は Business 以上で容量無制限、1ファイルのアップロード上限が Business で5GB、Business Plus で15GB と公式ページに書かれています。

容量課金|パートや外注さんも含めて人数が多い会社向け

人数に関係なく、容量で月額が決まる仕組みです。たとえばエックスサーバーの法人向けクラウドストレージ「XServerドライブ」は、全プランでユーザー数が無制限です。公式の料金ページでは、36か月契約の月額(税込)がスモールビジネス2,970円(1TBのHDDか500GBのSSDを選択)、ビジネス5,940円(2TBか1TB)、ビジネスプラス11,880円(4TBか2TB)と案内されています。契約期間が短いほど月額は上がり、1ファイルの上限は5GBです。容量2GB・1名のフリープランと、全プランの10日間無料お試しもあります。

どちらが得かを判断する目安

計算はシンプルで、「使う人数×1人あたりの月額」と「必要な容量の定額」を並べて比べます。社員5人で事務書類が中心ならユーザー数課金のほうが安く済むことが多く、現場スタッフや外注さんにもアカウントを配りたい会社、10人を超えて人数が増えていく会社は容量課金が有利になりやすいです。どちらも料金や容量は変わることがあるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

サービス料金の仕組み容量・特徴(公式ページより)
XServerドライブ容量ごとの定額(税込2,970円〜/36か月契約)ユーザー数無制限・500GB〜/IP制限・操作ログ
Google ドライブ(Google Workspace)ユーザー数課金(税別800円〜/1人)1人30GB〜/メール・カレンダーと一体
Dropbox(チーム向け)ユーザー数課金(3人以上)Standard はチーム全体で5TB
Box(Business 系)ユーザー数課金(3名以上)Business 以上は容量無制限/1ファイル5GB〜

取引先とのデータ受け渡しで確かめる機能

大容量の写真データを画面で確認するデザイナーのデスク
Photo by Nicolas Gonzalez on Unsplash

取引先に渡すときに大事なのは、渡したリンクが「いつまで」「誰に」開けるかを自分で決められることです。ここが弱いと、終わった案件のデータがいつまでも外から見られる状態になります。

共有リンクの有効期限とパスワード

共有リンクに有効期限を付けられれば、校了後や納品後に自動で閉じられます。パスワードを付けておけば、リンクが転送されても中身は守れます。XServerドライブは公式の機能紹介で、共有リンクのパスワード保護と有効期限の設定に対応していると案内しています。ほかのサービスでは、有効期限が上位プランだけの機能になっていることもあるので、契約前に確かめてください。パスワードはリンクと同じメールに書かず、電話やチャットなど別の手段で伝えるのが基本です。

1ファイルの上限サイズ

動画や印刷用のデザインデータは1ファイルが数GBになることがあります。容量の合計だけでなく「1ファイルあたり何GBまで上げられるか」を見ておかないと、いざ納品するときに上がりません。動画を扱う会社は、撮影データの1本あたりの大きさを一度調べてから選ぶと確実です。

相手にアカウント登録をさせずに済むか

取引先の担当者に「このサービスに登録してください」とお願いするのは、思った以上に負担になります。リンクを開くだけでダウンロードできるか、逆に相手から素材を上げてもらう使い方ができるかも確かめておきます。制作の現場では、先方から写真をまとめて受け取る場面が多いため、受け取り側の手順が簡単なことは料金と同じくらい大事です。

社内のアクセス権限と操作ログ

社内で使うときは、全員が全部のフォルダを見られる状態から始めないことが大切です。最初に権限の線を引いておくと、人が増えても混乱しません。

フォルダごとに見られる人を決める

経理・人事のフォルダは担当者だけ、案件フォルダはその案件のメンバーだけ、のように分けます。人ごとに設定するより、「営業」「制作」「経理」といったグループを作ってフォルダに割り当てるほうが、異動や退職のときに直す場所が少なく済みます。

誰が何をしたかの記録(ログ)

ログとは、ファイルのアップロード・削除・共有などの操作の記録です。「ファイルが消えた」「誰が外に共有したのか分からない」というときに、原因を追えるかどうかが変わります。XServerドライブの公式ページでは、ユーザーの操作ログと管理者の操作ログを閲覧できると書かれています。

ログイン時の守りと、上書きしたときの復元

パスワードに加えて確認コードを入力する2段階認証、会社のネットワークからだけ入れるようにするIP制限(接続元を限定する機能)があると、パスワードが漏れたときの被害を抑えられます。また、過去の版に戻せるバージョン機能があれば、誤って上書きしたデザインデータも復元できます。どの機能がどのプランに含まれるかは、サービスごとに確かめてください。

退職者・外注スタッフのアカウント整理

管理画面でユーザーアカウントの一覧を確認する担当者
Photo by Guille B on Unsplash

クラウドストレージで見落とされやすいのが、使い終わったアカウントの片づけです。人が抜けたときの手順を先に決めておくと、情報が外に残り続けることを防げます。

退職日に行うこと

退職日にはアカウントを止め、本人が持っていたファイルの所有者を上司や後任に移します。先にアカウントを消すと、その人が作った共有リンクやファイルまで一緒に消えるサービスもあるため、「止める→移す→消す」の順番を守ります。スマホアプリやパソコンの同期アプリにログインしたままになっていないかも確認します。

外注スタッフや取引先に渡した権限の棚卸し

案件ごとに外部の人へフォルダを共有していると、終わった案件の共有がそのまま残りがちです。月に1回、または案件の納品時に「外部に共有しているフォルダとリンク」の一覧を見て、不要なものを閉じる習慣をつけます。

タイミングやること担当の目安
入社・参加時アカウント発行・グループに追加管理者
納品・案件終了時外部への共有リンクを閉じる案件の担当者
退職時停止→ファイルの所有者を移す→削除管理者と上司
毎月外部共有とアカウント一覧の見直し管理者

今の保存先からの移行手順

移行は、一度に全部を移そうとすると現場が止まります。決める・試す・移す・切り替えるの順に分けて進めます。

ステップ1|今あるデータと置き場所を洗い出す

社内のNAS(社内に置くファイル保存用の機器)、各自のパソコン、個人の無料ストレージなど、ファイルがどこに何GBあるかを書き出します。使っていない古いデータはこの時点で「移さない」「別に保管する」に分けると、契約する容量を小さくできます。

ステップ2|フォルダの構成と権限を紙の上で決める

「部署」「取引先名」「年度」など、一番上の階層をどう分けるかを決め、それぞれ誰が見られるかを書いておきます。ここを決めずに移すと、今の散らかった状態をそのままクラウドに持ち込むことになります。

ステップ3|無料お試しで1部署だけ使ってみる

お試し期間を使い、1つの部署か1つの案件だけで実際にやりとりしてみます。大きなファイルのアップロードにかかる時間、取引先がリンクを開けるか、同期アプリが重くならないかを確かめます。

ステップ4|データを移し、切り替え日を決めて旧環境を読み取り専用にする

容量の大きいデータは夜間や休日に移します。切り替え日を社内に知らせ、その日以降は旧環境を読み取り専用にして、新しいファイルが旧環境に増えないようにします。旧環境はしばらく残し、必要なファイルが漏れていないことを確かめてから整理します。

よくある失敗と対処法

会議室でファイル共有のルールを話し合う小さなチーム
Photo by Redd Francisco on Unsplash

クラウドストレージの失敗は、サービスの性能より使い方のルールが決まっていないことから起きます。制作の現場で取引先とやりとりしていてよく目にするものを挙げます。

社員の個人アカウントで取引先と共有していた

個人の無料アカウントで共有していると、その社員が辞めた時点で会社はファイルにも共有の状況にも手が出せなくなります。取引先とのやりとりは会社のアカウントだけで行うと決め、個人アカウントに残っている業務データは移行のときに会社側へ移してもらいます。

「リンクを知っている全員」で公開したままになっていた

期限もパスワードもないリンクは、転送されれば誰でも開けます。初期設定で有効期限が付くようにしておく、外部共有は案件フォルダの中の「受け渡し用」フォルダだけにする、といったルールで防ぎます。終わった案件のリンクは前述の棚卸しで閉じます。

同期アプリで消したら、クラウドからも消えた

パソコンと同期している場合、手元で削除するとクラウド側も削除されます。容量を空けたいだけなのに消してしまった、という相談はよくあります。同期の仕組みを社内で一度説明し、復元の手順(バージョン機能やゴミ箱)を管理者が確認しておくと慌てずに済みます。

制作会社の目線で見た選び方のまとめ

メールや予定表もまとめて整えたい会社は Google Workspace、人数が少なく1人ずつに大きな容量を持たせたい会社は Dropbox や Box が候補になります。一方で、現場スタッフや外注さんまでアカウントを配りたい会社、写真や動画を取引先と頻繁にやりとりする会社は、人数で料金が増えない容量課金のほうが予算を組みやすくなります。向かないのは、1ファイルが5GBを超える動画を日常的に扱う場合で、そのときは上限の大きいサービスを選ぶか、渡し方を分けて考えます。

人数を気にせず社内と取引先の共有を1か所にまとめたい方は、XServerドライブの10日間無料お試しで、実際の素材を1案件分やりとりしてみるのが確実です。料金・容量・機能は変わることがあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 社員5人程度でも法人向けのクラウドストレージは必要ですか?

A. 取引先とファイルをやりとりするなら、人数が少なくても会社のアカウントで管理することをおすすめします。個人アカウントのままだと、退職や異動のときにデータと共有の状況を会社が引き継げません。

Q. 共有リンクのパスワードはどう伝えればよいですか?

A. リンクを送ったメールとは別の手段(電話・チャット・別のメール)で伝えます。同じメールに書くと、メールが転送されたときにパスワードの意味がなくなります。

Q. 社内のNASはやめてクラウドに全部移すべきですか?

A. 必ずしも全部移す必要はありません。社外とやりとりするデータや外出先で使うデータはクラウド、社内だけで使う過去の大きなデータはNAS、と分ける会社もあります。どちらに置くかを決めておくことが大切です。

Q. 容量が足りなくなったらどうなりますか?

A. 新しいファイルが上げられなくなるのが一般的です。上位プランへの変更や容量の追加ができるかはサービスごとに違うため、契約前に確かめておき、残り容量を月に1回見る習慣をつけます。

Q. 無料プランから始めても大丈夫ですか?

A. 操作感を試すには十分です。ただし無料プランは容量や人数、1ファイルの上限が小さいことが多く、XServerドライブのフリープランも容量2GB・1名です。実際の業務で使うかどうかは、有料プランのお試し期間で判断するほうが確実です。

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